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Posted by naturum at

2010年09月02日

キャッチアンドリリース後の死亡率?

 私はルアーで釣りをすることが多く、キャッチアンドリリース(以下C&R)することが多いです。  C&R至上主義ではありませんので、食べる為に持ち帰るときもあります。しかし、必要以上には持って帰ってこないようにはしています。  ボートによる釣りでもバッグリミットを設けている船や地域も散見されます。効果の程は分かりませんが・・・。  C&Rするときに感じることは、リリース後にこの魚は生きていけるのか?ということです。リリース方法に関しても様々考え方があるようですね。数年前にテレビで釣り上げた渓流魚のフックを外したところに消毒液をかけるということも見たことがあります。これはナンセンスだとは思いますが、魚を大事にしようというマインドだけは理解できます。消毒薬は生体攻撃性が高い1)ので、逆効果でありますし、ましてや水の中にリリースした瞬間に流れてしまうことは明白です。  インターネットで見ることができる文献がいくつかありましたので、備忘録的に書いていこうと思います。



実験池においてキャッチアンドリリースされたイワナ, ヤマメの生残と成長2)


要旨:

イワナ・ヤマメ養殖魚の小型魚と大型魚の釣獲放流後の死亡率と成長を実験池において調査した。餌釣り, 毛鈎釣りともに, 口腔にかかった鈎を除去した場合, いずれの魚種においても死亡率は低かった。餌釣りで口腔より奥にかかった鈎を除去した場合, イワナ小型魚とヤマメ大型魚では死亡率は高かった。口腔にかかった毛鈎を残留させた場合, イワナ大型魚では死亡率は高かった。死亡のほとんどが釣獲放流後14日以内に観察された。釣獲方法, 鈎がかりの部位, 鈎の処理方法は成長と肥満度に影響しなかった。



表1
釣法 フッキング位置 フックの処理 魚の数  死亡個体数 ()内は%
 0-1  0-3  0-14  0-21 0-81(日)
 

 

 

 

餌釣
 

 

口腔
 除去  19  0(0) 0(0)  0(0) 0(0)  -
 残留  17  0(0)  0(0)  0(0)  0(0)  -
 

 

食道
 除去  18  12(66.7)  12(66.7)  12(66.7)  12(66.7)  12(66.7)
 残留  17  1(5.9)  1(5.9)  1(5.9)  1(5.9)  1(5.9)
 

 

フライ
 

 

口腔
 除去  20  0(0) 0(0)  0(0)  0(0)  -
残留  19  0(0)  0(0)  0(0)  0(0)  -
 コントロール群     20  0(0)  0(0)  0(0)  0(0)

 1(5.0)




表2
釣法 フッキング位置 フックの処理 ハンドリング 個体数 死亡個体数 ()内は%
0-1 0-3 0-14 0-21(日)
餌釣 口腔 除去 濡れ手 20 0(0) 0(0) 2(10.0) 3(15.0)
塗砂 20 0(0) 0(0) 4(20.0) 4(20.0)
残留 濡れ手 20 0(0) 1(5.0) 2(10.0) 2(10.0)
塗砂 20 0(0) 3(15.0) 8(40.0) 8(40.0)
食道 除去 濡れ手 20 0(0) 3(15.0) 6(30.0) 6(30.0)
残留 20 0(0) 1(5.0) 1(5.0) 1(5.0)
フライ 口腔 除去 濡れ手 20 0(0) 1(5.0) 1(5.0) 1(5.0)
残留 20 0(0) 2(10.0) 11(55.0) 11(55.0)
Ctrl群   20 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)

気になったところとしては・・・



  • ルアーより餌釣りの方が死亡率が高い

  • 餌釣りで食道までフッキングし、フックを除去すると死亡率が高い

  • 大型イワナにおいて釣獲されていない個体に比べ釣獲後に砂をまぶされてつかまれた個体の死亡率は高い




この研究では、フックを飲まれた場合は無理に除去せず、ライン部で切ってリリースすることを推奨しています。餌釣りの死亡率が高いのは、飲まれやすいからで、フライに関しては、食道まで達するのは稀みたいです。ワームは飲まれがちなので気を付ける必要がありそうです。

砂が魚体につくと死亡率が高くなるようなので、リリース前提の場合は魚体に砂をつけないようにする工夫が必要かもしれません。とくに、サーフでのアメマス釣りでは、結構課題になりそうですね。

あくまでも、実験池での結果なので、これが自然界と同じとはなりませんが、無視できない結果だと思います。

 


渓流魚の体内に残留させた釣り鈎の動向3)


要旨: 実験池において,イワナとヤマメの体内に残留させた釣り鈎の動向を調査した。両種ともに,口腔に残留させた餌釣り用と毛鈎釣り用の鈎はいずれも 21 日以内にその多く(70.0~100%)が脱落した。口腔より奥に残留させた餌釣り用の鈎の体外への排出率は 21 日後に 0~16.7% であり,81 日後でも 15.0~50.0% であった。口腔より奥に残留させた鈎の多くは 81 日後には錆びていたが,崩壊したものは少なかった。以上の結果から,口腔に残留させた鈎は比較的短期間で脱落するが,口腔より奥に残留させた鈎は体外に排出されにくいことが明らかになった。


気になったところとしては・・・



  • 口にフッキングしたものは、ほとんど脱落する。

  • 食道以降にまでフックが侵入した場合は、排出される確率が低い。

  • 胃に到達したフックは、胃壁に刺さったり、そのまま露呈している。

  • 体内に入ったフックが崩壊するには時間がかかる。


 C&Rを考えた場合、フックが飲まれた場合は、前述のとおりラインを切ってリリースしたほうが生存率はあがる。しかし、食料として考えた場合、非常に危険であると文献では述べられていました。これは、食べる可能性がある魚種に関しては、考慮する必要があるかもしれないですね。わたしも、以前胃の中に4インチワームが入ったアブラコを釣った事があります。鳥の餌にもなりえますので、なかなか難しい問題かもしれませんね。

それにしても、フックを飲まれてしまってもある程度は生き残ることが出来るという事実は、C&Rする側としては、少し安心できる事実でした。しかし、フッキング位置が口だろうと何だろうと釣らない場合より死亡するリスクは高くなってしまいます。このことは忘れてはいけないし、免罪符にしてはいけないですね。



いろいろしらべてみました、海外の文献も多数あって、餌つりとルアーの違いとか、バーブの問題とか、いろいろありました。きりがないので今日はこの辺でw


参考・引用資料

1)新しい創傷治療

2)土居 隆秀, 中村 智幸, 横田 賢史, 丸山 隆, 渡邊 精一, 野口 拓史, 佐野 祐介, 藤田 知文; “実験池においてキャッチアンドリリースされたイワナ, ヤマメの生残と成長”, 日本水産学会誌, Vol. 70, pp.706-713 (2004) .


3)土居 隆秀, 中村 智幸, 横田 賢史, 丸山 隆, 渡邊 精一, 野口 拓史, 佐野 祐介, 藤田 知文; “渓流魚の体内に残留させた釣り鈎の動向”, 日本水産学会誌, Vol. 71, pp.348-353 (2005) .


おまけ:いつかこんな釣りがしてみたいですねw



  

Posted by scene003 at 17:17Comments(0)雑談